「対話を通じて自律学習を育む」~AIでは代替できない教育を追求し続ける学習塾の挑戦~

くじら塾株式会社 取締役副社長
北山 麻愛 様

学習塾を経営していらっしゃいますが、パシフィックセミナーさんの特徴や独自で取り組んでいらっしゃる方針などあれば教えて頂けますか?
資料にもある「自ら学習していけるように導く自律学習」という言葉が印象的でした。

弊社の方針ですね。
自律学習というものを大事にしているので、まずは人を育てることに力をいれていますね。
社員や講師を育てないと塾というものは成り立ちません。

「人材育成」は永遠の課題ですね。
でも弊社だからということではなく、業界全体のお話になります。
やはり教育は『最終的にAIに置き換えられない仕事』なのです。
この業界で教育や人に関わることと向き合った人は、もちろん一生教育者としても生きていけますし、例えば転職して他の分野に行ってもしっかり仕事と向き合える人になるはずだと考えています。

子どもへの教育についても大事にされている方針を教えて頂けますか?

子どもはいつか大人になりますよね。そのプロセスの一部分を私たちが担っていると考えています。
塾講師の教え方がうまいとかそんなことではなく、主人公はあくまで子どもたち。
子どもが自分の人生を歩いていく道の途中で、この時期にたまたまここの場所でサポートをするんだ、支えるんだという気持ちの方が強いですね。やはり主役は子どもなのです。

つまずいた時でもこういうふうにすればいいんだよということを、学習指導を通して子どもたちに伝えたいと考えています。

例えば、問題を解いて間違うことがありますよね。そのときに間違えたものを消して、正しい答えを書く、そしてそれを丸にして先生に提出するというのは小学校ではよくあることです。
しかし、私たちの塾では「間違いは大事なもの」と教えています。
間違いはそのまま残しておいて、下に新しい答えを書いて、どうして間違ったんだろうね。次から間違わないようにするにはどうしたらいいんだろうね。ということを一緒に考えます。

「どうやってできるようになるか」というプロセスの方がとても重要であり、できないことには手をつけない子にしないためにも「間違いは大事なもの」と伝えるようにしています。

対話をとても大事にされているのですね。

はい、対話を大切にしています。
私たちの業界でよく言うのですが、『教える仕事』だけであれば実はAIの方が得意なんですよ。
知識の伝達という意味では。ただ、知識を伝達しただけだと、それが子どもたちにとって生きる力にも自信にも何もならないのです。
知恵にもなりませんね。

対話をし、間違えを大切な経験にして、プロセスを大事にすることで、次はこのように進んでいけるぞという前向きな気持ちを持つようになって欲しいですね。
それはやはり人が人に教えることしかできないと思っています。

最終的にAIにはならない仕事、それが教育ですね。

印象的なのが、小学校1年生から、高校3年生まで生徒さんの年齢が幅広いですよね。
幅広いお子様に接する中で、意識されていることなどありますか?

年齢によって自律度は変わります。自分でできることがどんどん変化していきますね。
その年齢によって、サポートの仕方が変わります。例えば年齢だけではなく、どのタイミングに大きな変化が起こるかというと「受験生」になるときです。
中学受験でしたら小学6年生、高校受験でしたら中学3年生ですね。

今の子どもたちは受験=勝負だと思っていない傾向があります。
受験というものを「自分で学校を選ぶんだ」と考えている子が多い、そしてその意識が高いですね。
自分のやりたいことと合致する学校はどこだ、という探し方をします。

情報化社会なので、情報に溢れてはいますが、情報格差がとてもあると感じます。
上手に調べて客観的に情報と向き合って考えられる子と、自分のSNSに流れてくる情報がすべてだと思っている子がいますね。
やはり知ることはとても重要です。

生徒さんの年齢に幅があるからこそ、段階をしっかり踏み、目線にあったサポートをするよう心掛けています。

そして「子どもが本音を吐き出せる場所・本音を言ってくれる大人でありたい」と思っています。
ただ、本音がそのまま通らないことも世の中多くありますよね。
本音と建前のどこのポイントで折り合いをつけて次のステップに進むか…そこをサポートしてあげることが自律につながると思っています。

 

最初はひとつの塾から始まって、今は5拠点ですね。
大きく成長されてこられた要因があれば副社長目線から教えていただけますか。

私たちの業界は経営的な観点で取り組んでもうまくいかないのです。
なぜかというと教育だからですね。ただ、教育としていいことをやっていれば必ず生徒が集まるかというとそうでもない。
失敗をしている個人塾さんも多いのが現状です。
そこはやはりビジネスとして「宣伝」をしっかりできているか、ブランディングというものも必要です。
ただ、ビジネスを全面に出しても上手くいかない、そのバランスが非常に難しい業種だと思います。

まず基盤は教育や想いでなければいけません。その上に経営があります。
どちらだけでもいけないので、バランスが大事ということですね。

利益を生むことで、良い先生に長く働いてもらい、しっかりとお給料をお渡しすることができる。そして、安定した人材育成が子どもたちへの良い教育を生む。
その循環を上手く進めることが経営者としての、難しさでもあり大事なところです。

 

最後になりますが、今後の展望や、目指しているところみたいなものがあれば、教えて頂けますか。

 

 

私たちは自分たちのことを小さい塾だと思っています。
例えば大手の塾さんに通っていたけれど、違和感があったりこぼれおちてしまったりする子どもが一定数います。
日本全体が、特に教育現場が二極化している中で、教育の多様性を保証する場が必要です。
私たちの規模だからこそできること、寄り添ってあげられる子どもたちやご家庭があります。

そのためには、子どもたちが住んでいるところの近くに居心地のいいアットホームな教室を作ることが必要です。
家の離れのような、勉強部屋のような感覚で足を運べる場所を子どもたちに作ってあげたいですね。
何でも成績、成績!頑張るぞ、頑張るぞ!というのが、毎日だったら疲れてしまう子もいます。「いいんじゃない、今日は」と、少しホッとできるそんな場所を増やしたいですね。

それを叶えるためにも「教育」をベースに、「人材育成」「経営」の課題とこれからも向き合っていきます。

 

くじら塾株式会社様のホームページはこちら

https://www.kujirajuku.co.jp/

お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ!
このサイトを共有する